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武道訓練

刑務官の訓練の一環に武道訓練というのがあります。
ここで言う武道は柔道か剣道です。
刑務官全員が武道に精通しているわけではありません。
学生時代に柔道や剣道の有力な選手には武道拝命と言うことで声がかかることがあるようです。

女子施設の場合、柔道というのはあまり無いようです。剣道も経験者がやるという感じなのですが……、女子施設でない場合は、それなりにやることになります。

女子施設から拘置所に転勤してきた初日に、当時の女区長(前のトピックとは違う方です)言われたのが、「もう、(若年者)武道訓練始まってるから、柔道か剣道どっちにするか考えといて」。
ちなみに、この施設の若年者訓練の対象者は29歳以下もしくは拝命5年以内でどちらかに当てはまれば30時間ほどの参加義務あり。

工エエェェ(´д`)ェェエエ工工 い、いきなりですかー!

剣道は全くやったことないし、面を着けてやるというのがどう考えても暑苦しいのでパス。
なら、柔道をということになるのだけど、柔道着持ってない。

女子施設で柔道着着るなんて護身術訓練の時期だけで、それ故施設においてあるモノを借りるという感じだったのですよ。初等科の時も施設のを借りて持っていきました。
護身術訓練でも使わないといけないし、泣く泣く購入することに。

訓練は朝と夕方に行われて、朝が1時間、夕が1時間半だったと思います。朝は早出の場合は参加できません。夕は夜勤日は参加できません。
夜勤者の頃は割と参加しやすいけど、日勤者になると参加する時間のやりくりも大変でした。

で、ずぶの素人状態で柔道をすることになったのですけども、女子は素人ばっかりだったので、型から覚えないといけません。しかも毎年訓練を受けていても1年たてばさっぱり忘れるという有様ですので、いつまでたっても上達しない(^^;
訓練の最終日は柔道、剣道とも試合を行うのですけども、柔道の女子は素人ばっかりなので試合をさせるわけにもいかず、型の披露ばっかりやってましたね。

武道の心得はあるに越したことないです。

10月 16, 2004 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (0)

「頑張れ」

「頑張れ」という言葉は、ものすごく便利ですね。励ましの意味で、ちょっとしたことから重大なことまで使えるのだから。だから、気軽に使っている人多いと思います。
だが、鬱病の人には絶対に使ってはいけない言葉です。

で、私自身は鬱病の症状が本格的になってから、この言葉に対して違和感を覚えるようになりました。一時は、嫌いな言葉の一つになっていました。

 「頑張れ」という言葉の裏には、「無理をしろ」「耐えろ」「我慢しろ」という意味が含まれています。私の場合は、その言葉の裏の意味に耐えられなくなったのです。

前のトピックで1ヶ月間の有給休暇をとったと書いたのですけど、そのとき、自宅で引きこもっていたことがあります。引きこもっていた私に母は「頑張りなさい」と言いました。母親は、「鬱病は心の弱い人がかかる人」という認識しか持っていなかったのです。
それに対して、「頑張りたくても、頑張られへんのや!」と泣きました。

復帰後、鬱病にかかっていて、しかも症状が悪化しているのに、女区長も「頑張りなさい」と言いました。女区長には診断書まで提出していましたから、もちろん私が鬱病にかかっていてその治療中であることはわかっていました。
当時、女区長は単身赴任中で、年下の旦那と離婚したところだったので、「私も離婚して辛いことがあるけど」という下りで「頑張りなさい」という言葉が出たのです。

「自分も辛いけど耐えている、だからあなたも」という論理は、鬱病の患者には通用しないどころか、大きなダメージを与えてしまいます。

確かに当時はまだ職員のメンタルヘルスがあまり問題となっていなかったので、十分な知識を持っていなかったと思うのでしょうけども、この言葉を吐きつけた女区長には、不信感を覚えました。もともとさほど関係がよくなかったところにとどめを刺したというのが正しいです。

「頑張って」という曖昧な言葉でなくて、励ますのなら、何を相手に望んでいるのか、それをきちんと伝えて欲しいと思います。
その望みさえわかれば、望みを叶えるために準備をするし、ベストを尽くせるようにできる範囲内で努力はします。

今では、たぶんそれなりにメンタルヘルスに関する知識が広まってきているでしょうし、職員・被収容者ともにメンタルヘルスに関する問題を抱えている人も増えているので、私の時のような浅はかなミスを犯すことはないとないと信じたいですけど……

10月 15, 2004 日記・コラム・つぶやき | | コメント (5) | トラックバック (0)

退職の理由

以前に、メールでご質問を受けていたのですけども、どうやら届いていないようですので、こちらで書くことにしました。

私自身が、刑務官の仕事を辞める原因になったのは、看守部長昇進後に鬱病にかかってしまったことでした。

鬱病にかかってしまったのは、看守部長になって仕事上の量や責任が増えてしまったこととか、周囲との人間関係が微妙に崩れてしまったとかがあります。直接の上司であった女区長とは、うまく人間関係を築けなかったですね。
その上、仕事でミスをする→上司に注意される→上司の目を気にしすぎて萎縮してまたしてもミスを重ねるといった悪循環状態に陥ってしまいました。

その当時、私は上を目指してまっしぐら!という感じでしたので、鬱病にかかってしまったのは、今後の仕事を続ける上では致命的でした。精神科に通ったり、1ヶ月間の有給休暇を使って休んだり、実家に戻ったりしたのですけど、そんなことで治るわけはなく、「やっぱり、この仕事に向いていない」との思いが強くなっていきました。
それでも悩んでいたもっとも大きな理由は、「お金」の問題があったからです。

もちろん、今後昇進をしないで勤務し続けるというというのもあったのですけど、精神的に完全に参ってしまって、自殺しかねない状況でした。

辞めるかどうか悩んでいたときに、女区長が代わるという話を聞いていて、期待していました。上司が代われば、人間関係も変わるのかなと思って期待もしていたのですけど、後任の女区長の人が刑務所時代の上司(しかも統括)だった人で、この人にも期待できないことがわかって、これが最終的な後押しになりました。

結局、退職すると女区長に伝えたのは、退職日のちょうど1ヶ月前のことでした。そのときの女区長がなんとなくほっとした表情を見せたのは今でも思い出すと非常に腹が立ちます。

刑務官の仕事は対被収容者でもストレスがたまりますけど、対職員ではもっとストレスがたまります。

10月 15, 2004 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (0)

身体のリズムと臨泊

以前のコラムでも刑務官の夜勤は4日に1度あって、夜勤の日は24時間以上の拘束があると書きました。
でも、そんな生活も1ヶ月ぐらいすると身体が慣れてきます。
逆に夜勤者から日勤者になっても1ヶ月ぐらいすると身体が慣れます。
それは、身体がリズムを覚えているからです。

けど、このリズムを破壊してくれるのが「臨泊」です。
臨泊とは、夜勤者が夜勤日に休んでしまったり、早退してしまったときに日勤者が臨時で夜勤をすることをいいます。
夜勤者の夏期休暇や夜勤部の旅行などであらかじめわかっている場合もあります。
私自身が日勤者だったのは拘置所時代の話ですのでそれを前提に話を書きます。

あらかじめわかっているときは、それなりに心の準備や食事の準備ができるのですけども、朝出勤してから言われた時はもう最悪です。まず、心の準備ができていない。その上食事や着替えも持ってきていない。

急な臨泊が発生すると、一応、依頼を受ける前に「今日、臨泊できる?」と聞かれますが、そこで「できない」と答えると、他の先輩方に迷惑をかけるので、引き受けざる得ません。
ただ、急な臨泊なので、外出許可をもらって食料と着替えの調達には出かけていました。
まー、さすがに土日祝日に急な臨泊の依頼はされなかったけど、もしあるような事態になったら、真っ先に呼び出し食らっていたのは間違いない。

夜勤の勤務内容自体はいいのですけど、それなりに気を遣います。相手の人は、階級が下でも拝命年数や年の近い人と組みますし、日頃から夜勤をやっているというのがあるからです。
また、翌日の非番の日は本来の担当業務を他の人にやってもらわないといけないので、引き継ぎのことも考えないといけません。
その上、臨泊をした後は、身体のリズムがおかしくなっているので1週間程度は身体がつらくなります。

と書きましたが、私も夜勤日にいきなり休んだ前科があります。そのときはこのような迷惑がかかって、それは日勤者にとってめちゃくちゃイヤなことなのかというのは、自分が日勤者になって痛感しました。

10月 8, 2004 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (0)

朝日が昇ると

夜勤をやっていて、後夜のときは朝日を拝むことができました。
刑務官になる前は、午前様を通り越して明け方に帰宅するときしか拝んだことのないモノでしたので、すごく感動したのを覚えています。

刑務所勤務時代、舎房の階段の窓で、朝日が昇るのをみることができたのです。拘置所勤務時代は、建物の構造上、朝日を拝むことはできませんでした。

朝日が昇ると、夜勤の終わりが近づいたのだとほっとしていました。
「ああ、もうすぐ勤務が無事に終わるのだと」

10月 4, 2004 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (0)

夜勤は気をつかうなり

女子施設では割とキャリアの浅い方がすることが多い夜勤。
しかし、非常に気をつかいます。

夜勤の時間帯は夜勤者と当直者しかいないからです。日勤の時間帯と比べると人数がかなり減ります。施設内でのトラブルは原則として、夜勤者と当直者で対処しなければなりません。

まず、足音をなるたけ立てないようにするのですが、舎房の廊下が木でできていたりすると、つい「みしっ」といわせてしまいます。まあ、今では廊下が木なんて所はないと思うのですが、私が拝命した施設では、当時木の廊下になっている場所がいくつかありました。

巡回といっても、簡単な仕事じゃないです。ただ、見て歩き回るだけじゃダメでして……でも、眠さに負けそうなことも多々あるのだけど。
逃走と自殺は絶対にまずいと以前にも書いていますが、どうしても警備が薄くなりがちな時間を狙ってくるのです。別に時計などを持ち込ませているわけではないのですけど、こちらの警備が手薄な時間帯はよくご存じという状況。
なので、生存確認は絶対に必要。まあ、15分に1回以上の割合で巡回が必要となっているのはそのためです。自殺をされたときの報道で、巡回時刻の件が出ているかと思うのですが、前見たときから発見までの時間がかかりすぎると当然、何らかの処分が来ます。
生存確認はどうするかといいますと、雑居房だと顔を出しているかどうかと布団のふくらみを確認します。独居房だと、これに加えて寝息も確認していきます。カメラ付きの独居だと24時間態勢で監視ですけど、それでは寝返りとかいびきとかといったおおざっぱな状態でしか確認できないので結構むずかしい。
見ているということで逃走や自殺を防止するというのもありますし、もし逃走や自殺があったとすればすぐに対処できるようにするのが、夜勤で最も重要なことでしょう。

それと、後もう一つ。日勤の担当に言いにくいことを夜勤者にいう被収容者が多いので、それをどうはねつけるかも鍵になります。最も多いのは、投薬関係。薬が大好きな被収容者が多いのですよ。日勤の担当は毎日のように観察しているので、被収容者の行動パターンとかをかなり把握しているのですが、夜勤者は毎日見ているわけじゃないし、受け持ち範囲も広いので、なかなか把握しきれない。そこをついてくるのです。ひどいのになると、毎日のように鎮痛剤が欲しいと申し出てきたり、投薬願箋を出してきます。そういう場合は、担当に翌朝報告の上、診察願箋を書くように指導してもらいますけどね。

10月 1, 2004 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (0)