« 2005年3月 | トップページ | 2005年5月 »

出廷戒護ではどこに着席する?

弁護士 落合洋司の「日々是好日」経由殺人事件公判「被告は弁護士の隣に」 東京地裁が決定というネタを発見。

記事では、被告人は少年で保釈中ということで、戒護権の問題は発生しませんでしたので、このような決定になったとしても仕方ないのでしょう。成人だったら認めているか微妙ですけどね。少年とは言え、勾留中ならば認めていないと思います。
勾留中であれば裁判所内でも弁護士面会ができるのでそこで事前に打ち合わせをするのが通常です。

被告人が1名で、社会的耳目を集めていない事件の場合、法廷までの連行は複数人で、出廷中の戒護は1名というパターンになります。(注:本来は2名戒護が原則でサンドイッチ状に挟みますが、私の現役時代はこのようなパターンでした)

刑務官は、どこに着席するかと言えば、被告人待機用の席の横で戒護することになります。で、その横とはどちら側なのかといえば、傍聴席側扉に近い側や窓に近い側に座ることになります。

勾留されている被告人が出廷して、裁判が開廷されたら、手錠や捕縄は使えません。開廷と同時に戒具は外すからです。全く自由な身になります。傍聴席側の扉や窓の外はもう娑婆です。全くフリーの状態で、逃走なんてされた日には……

以前にも書いたのですが、出廷戒護はキャリアの浅い職員でも担当することが多く、非常に緊張を強いられる勤務です。他の戒護勤務と違って座って勤務しますから、気がついたらウトウトしかけることもあるでしょう。でも、職員がちゃんと戒護しているという姿勢を見せるだけでもずいぶんと逃走防止の効果があるのです。

4月 30, 2005 初心者向け解説 | | コメント (7) | トラックバック (0)

ハト

ここで言うハトは単なる動物の鳩ではありません。後で説明します。

加重収賄容疑看守告発 受刑者家族からホテル代(共同通信)

 徳島刑務所は28日、受刑者と家族の連絡を取り次ぎ、ホテル代を支払わせるなどしたとして、加重収賄容疑で同刑務所処遇部の主任看守(37)を徳島地検に告発、懲戒免職処分とした。
 同刑務所によると、主任看守は昨年7月から今年2月、禁止されているのに30代の受刑者に父親らの伝言を電話で取り次いだり、検閲を通さず手紙のやりとりをさせたりし、謝礼などとして1月上旬、父親にホテルの宿泊代や飲食費計数万円を支払わせていた。連絡の取り次ぎは計200回以上になるという。
 主任看守はこの受刑者に菓子や薬を与えたほか、別の50代受刑者への連絡も同様に取り次いでいたという。
 主任看守は袋詰めなどをする工場の監視担当。受刑者は工場で作業していた。主任看守は「頼み込まれて取り次いだところ、上司に報告すると脅され、続けてしまった」と話しているという。

ハトというのは、受刑者同士や受刑者と外部の人間の連絡を無断で取り持つ役目の人のことを言います。伝書鳩というのがいますが、ハトというのはそこから来ているかと思われます。ハト行為は当然職員事故として、処分されます。

今回ニュースに出るほど大きくなったのはハト行為による金銭の授受もあったということで、加重収賄に問われたからです。

ハト行為だけでも十分処分の対象になりますが、それだけだったらまだ最悪諭旨免職などの処分ですんでいたと思われるのに、金銭まで授受してしまって犯罪者の仲間入りとは非常に残念です。加重収賄罪に問われるとなると、通常の収賄罪より罪が重くなります。

現役の方は、被収容者からのハト行為依頼については、毅然とした態度で拒絶して下さい。そして、そのような依頼が為されたことを上司に報告して下さい。

ただ、ハト行為を依頼されるという時点で、刑務官としてはかなりやばいレベルにあるのも事実です。普段から被収容者に甘く接している証拠です。「こいつなら、ハトとばせるかな?」と被収容者に思わせてはダメです。ダメなモノはダメと日頃から毅然とした態度で勤務しましょう。

拝命したての人にとってはいい反面教師となってしまいましたね。初等科などでも職員事故についての話が出てくるかと思いますが、くれぐれも職員事故を起こさないようにして下さいね。

4月 29, 2005 日記・コラム・つぶやき | | コメント (0) | トラックバック (1)

尼崎脱線事故について

死者の数ががんがん増え続けているJR福知山線尼崎脱線事故。1両目なんてぺちゃんこですから生き延びた人がいたと言うだけでもすごいと思うのですが、現在の段階では救出=死者増加と言う状況のようですね。おそらく問題の運転手もお亡くなりになっているのではないかと(勝手な推測段階ですが。もしかすると事故直後にうまく逃げている可能性も否定できませんが、まぁ、状況から察するに。。。。)

で、一応今のところ、JR西日本の業務上過失致死罪が問題となり、関係資料押収といった手続きを行っているようです。こうなると、運転管理に問題がありということになれば、運転手を束ねる部署の長や社長など、うっかりすると法人としてのJR西日本になんらかの刑罰を下すということもありえるかなぁ。

さらに、気になるのは、破砕痕。
これがもし、置き石であると確定されたら、えらいこっちゃです。置き石をしたのは誰だ?!ということになり、それが事故の一因とされたなら、最低威力業務妨害、最悪殺人罪ですね。あ、鉄道法にも何か規定があったかな?
で、置き石する人には成人ならかなり確信犯的で、事故が起こるのを待っていた的な感じを受けますが、置き石は子供の遊びでもあり得るということです。子供の置き石がもしこの事故の引き金要因の一つとされたら、その子供はどうなるんでしょうか。やはり法的裁きを受けるんでしょうか。非常に気になります。

4月 28, 2005 News | | コメント (6) | トラックバック (1)

引っ越しすることに

来月引っ越しをすることになりました。
しばらく法律解説系のネタは出せませんのでご了承を。

そういや、親子代々刑務官とかというのには、それなりの理由があります。結構多いのですけどね。親の後ろ姿を見てなんて立派な理由もあるのでしょうけどもね。それだけじゃないと思います。
官舎に住んでいれば、無料若しくは格安の値段で住むことができます。けども、辞めてしまったら官舎を出なければいけません。住む場所を失うだけでなく、住処にそれなりの値段が必要ととなればね……家族持ちには辛いですよ。
それ故、女子の世界ではそこまでせっぱ詰まっている人は少ないのですが、男子の世界だとよくあるみたいです。辞められない理由の一つにもなっています。

私自身、刑務官の仕事を辞めるかどうかの時に悩みました。
拘置所勤務時代に鬱病になる前は独身寮に入っていました。実家から通えない距離でもなかったのですけども、宗教がらみなどの諸事情があって、両親とは同居したくなかったのです。
鬱病がひどくなって1ヶ月休養してからは実家からの通いになりましたが、通勤手当を出さない条件で官舎に残らせてもらいました。病気が良くなって、再び一人暮らしができれば……と思っていたのですが、辞める選択をしました。

そういえば、私がなぜ今の仕事に就くようになったのか?
元々、大学時代からコンピューターにはさわっていたのですよ。社会心理学専攻だったので、ワープロや統計処理にパソコンが必要だったので、研究室でさわっていました。
刑務官になって2年目にパソコン通信がしたいからといって、はじめて買ったのがPC-9821Lt350というB5ノートパソコンでした。それからは趣味でさわっていました。但し、ホームページを作ったりとかは仕事柄やっていませんでしたね。そんな中で、自己流で知識を身につけて、平成9年の初級シスアド試験に1発合格しました。当時は、初級シスアドって何?な時代でしたし、身につけたところで仕事に役立つわけでもなし。自分のパソコンに関する知識がどこまで通用するかを試してみたかったのですよ。
結局は、このときに身につけたモノが今でも大きな財産になっています。おかげで、バイトとは言え、27歳未経験でも雇ってくれる会社も見つけることができたのですから。

まー、凝り性なので、その後刑務官時代に金にかまけて4台のPCを買いましたよ。ソフトやパーツもいろいろ買ったりして。というより、主にパソコンゲームで遊びたかったからなんですけども……

今の職場には大学時代の先輩の紹介で入社しました。サーバ管理とかWeb系プログラミングの仕事は今の職場で覚えました。

今回はとりとめのない話ですみません。

4月 26, 2005 日記・コラム・つぶやき | | コメント (9) | トラックバック (0)

裁判員制度、7割が「参加したくない」…内閣府調査

ソースは、http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20050416it11.htm

しかし、「裁判員として刑事裁判に参加したいと思うか」の問いには、「参加したくない」(35・1%)と「あまり参加したくない」(34・9%)を合わせ計70・0%の人が参加に消極姿勢を示した。「参加したい」「参加してもよい」は計25・6%にとどまった。  参加したくない理由(複数回答)では、「有罪・無罪などの判断が難しそう」(46・5%)と「人を裁くということをしたくない」(46・4%)が上位を占め、「国民の司法参加」という制度の根幹にかかわる部分を理由に参加に消極的な人が目立った。「仕事に支障」(19・9%)「面倒」(17・4%)「家事に支障」(10・0%)などは比較的低率だった。

こういう逃げ腰状態だと、このような制度で裁かれた人の顛末はどうなっちゃうのでしょうかね。

私自身は、裁判員制度大いに賛成なのですけどもね。
官舎と役所との往復に追われて、世間の感覚を忘れている裁判官たちに世間の人々はこう考えているのだと知らしめるだけでも制度の意義は大きいと思うのですけどね。

官舎と役所の往復に追われてというのは、矯正の世界でも一緒……

4月 18, 2005 | | コメント (5) | トラックバック (1)

保釈の条件

刑務所勤務の人にとってはあまりなじみがありませんが、拘置所勤務者にとっては大いになじみのある保釈につて条件などを説明しておきます。

まず、保釈とは何か?勾留の執行を停止するための制度です。要するに一定の条件を満たす未決被収容者に対して、お金と引き替えに一時的に釈放しましょうという制度です。しかし、保釈に関してはいろいろな制限があります。

刑事訴訟法89条では必要的保釈の条件を挙げています。

保釈の請求があったときは、左の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪障を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が判らないとき。

各号での除外条件がなければ、保釈の申請があったときには認めなければならないとなっているのですが、保釈への大きなハードルとなっているのは、第三項と第四項の部分です。
第三項では前科があるかどうかではなく、常習性があるかどうかという部分で判断されるからです。長期三年以上でない薬物使用系では常習性の部分で引っかかることが多いのです。つまり、逮捕されるまでに何度も薬物を使用していて、常習性があると認められればそれでアウトなのです。
第四項では取調や裁判で否認していたりしていればそれだけでも「罪障を隠滅すると疑うに足りる」と判断されてしまうケースが多いです。

ただし、刑事訴訟法90条では、裁量的保釈も認めています。

まあ、常習性がなくて、軽い罪で、素直に罪を認めていないと保釈される可能性が低くなっていくと。

そもそも、日本の刑事政策を考えたとき、起訴猶予などもありえますから、拘置所で勾留されるとなるとそれだけでも悪質なモノとして考えられます。

保釈が許可になってもこれまたいろんな制限があったりします。当然裁判所からの出頭に応じなければいけませんし、無断で長期間の旅行や海外旅行、転居はできません。許可条件を破ると保釈は取り消される、保証金も取り上げられると踏んだり蹴ったりということになります。

4月 11, 2005 初心者向け解説 | | コメント (0) | トラックバック (0)

受刑者更生意欲アップへ塀の中も「衣替え」

URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20050402i306.htm

 刑務所内で受刑者に貸与されている灰色系の衣服や暗い印象の布団が“新色” に衣替えされることになった。  色彩学などの専門家から、現在の衣服や布団が「潤いに欠ける」「攻撃心を誘発する」などと 厳しい指摘を受けたためだ。  法務省は、受刑者の更生意欲向上を目指し、今年度中にも新色を決め、段階的に 切り替えを進めていく考えだ。  受刑者の刑務所内での普段着である舎房衣は、1966年に男性用が灰色に近い焦げ茶色、 女性用が灰色となり、その後は形状や材質も変更されていない。また、布団の柄は、男女とも赤と緑の太いしま模様となっている。衣服や布団が現在の色になった経緯は「全く分からない」 (法務省幹部)という。  法務省が昨年、色彩学の専門家らに刑務所を視察してもらったところ、衣服については「色彩が徹底した無地、モノトーンで、潤いに欠ける」「受刑者だからこそ前向きに生きる意欲を引き出すように、衣服に色をさすことが必要」などと改善を求められた。  布団についても「色彩学的に就眠の目的には不適切な柄、色彩」「色の組み合わせが緊張を強い、太いしまがその傾向を助長している。攻撃心を誘発する恐れがあり、房内での布団の存在感がかなり大きいことから空間への影響も大きい」などと酷評された。  専門家らは、〈1〉舎房衣のほか、作業着、パジャマについても、現行色に薄い青やミントグリーン、紅梅色などを加える〈2〉布団には柿色や茶色といった暖色系の色を取り入れ、しま模様を細くする――などを提案している。  法務省はこれらの案から、最終的な新色を選び、併せてデザインや素材の変更も検討する方針だ。
おとといあたりにセカンドライターのたつみさんとも話をして異様に盛り上がってしまったネタです。

拘置所の未決収容区域は、自弁物品(わかりやすく言うと私物)が比較的認められていることもあって、まだカラフルなのですよ。服や寝具は原則自弁、官衣は、私物では足りない場合に貸与されるというパターンです。このときに貸与される官衣は受刑者の服と同じモノが貸与されます。寝具は、自弁と言っても結構なカサがあるので、自弁せずに官のモノを使う人も多いです。自弁の場合、出所時に一緒に持って帰ってもらわないといけません。従って、執行猶予の見込みが高く娑婆に出るのが近かったり、下獄(受刑者になること)が近い人は、直前に宅下げ手続きするのが多かったですね。
一方で、刑務所は記事にも指摘のあるとおりで、本当にモノトーンな世界です。後でそれぞれの色についてはどんな感じかを出してみようかと思います。官から貸与される枕は灰色に白カバーというすてきな?代物です。

受刑服(女子):
枕&受刑服(男子)

布団の緑色:
布団のオレンジ:
ということで布団のしましまを表現してみる

(注:しましまの白い部分は実物ではありせん)

モニタの明るさ次第でちょっと違う可能性が大ですが、雰囲気はつかめるかと思います。ちなみに敷シーツは白布で敷布団にボタン止めです。掛シーツはなく、襟布(首が当たる部分につけます)をこれまた掛け布団にボタン留めです。

ちなみに、官衣や官布団は佐賀県の麓刑務所で作られています。

4月 4, 2005 News | | コメント (5) | トラックバック (0)

自庁研修開始ですね

4月1日付で拝命された人にとっては、本日から本格的に自庁研修開始となります。

以前にも取り上げたかと思いますが、自庁研修期間中に学ぶべきコトはたくさんあります。
監獄法などは旧仮名遣いで読むのに一苦労するかも知れませんが、古文のおさらいだと思ってがんばって下さい。
もうすぐ監獄法改正が予定されてはいますが、その恩恵を自庁研修中には受けられないと思います。

研修日誌とかついつい書くのをさぼりがちになんてコトにならないようにね(心当たりありすぎな管理人)。

4月 4, 2005 日記・コラム・つぶやき | | コメント (4) | トラックバック (0)

刑務所と拘置所の違いってなあに?

今月中は、新拝命者向けの記事が多くなりますが、第1弾は刑務所と拘置所の違いについてです。

刑務所は、懲役刑や禁固刑といった自由刑に処せられた受刑者を主に収容しています。生産工場がいくつもあります。女子施設(ここでは5刑務所+2刑務支所)では、拘置監を常時用意していることはないかと思います。
職員の働き方は、受刑者の動作時限にあわせて働くことになります。懲役受刑者の場合、工場に出て働くのが基本です。その合間に運動や入浴などをこなします。

一方、拘置所では刑事被告人や被疑者といった、未決被収容者を中心に取り扱います。死刑執行施設では、死刑確定者も収容されています。また、刑務所移送前の受刑者や、経理作業(施設内の細々とした雑用)をこなすための懲役受刑者も収容されています。
未決の場合は、裁判を受けることが主なことです。被収容者の生活は、裁判や検察庁取調に行かない日は、3食昼寝付きな生活です(昼寝は夏期のみ)。運動や入浴もあります。
職員の働き方は、未決の出廷・検察庁取調スケジュールにあわせることになります。配置箇所が固定なのは舎房担当ぐらいで、後の職員は出廷スケジュールに合わせていろんな配置箇所につきます。

女子刑務官の場合、男子以上に職員の出入りが激しいので、拝命から3年目以降は一人前扱いされます。5年もいれば中堅どころ扱いです。夜勤を抜けて小さめの工場や舎房担当を任されるようになってきます。10年も立てばベテラン扱いです。

4月 3, 2005 初心者向け解説 | | コメント (0) | トラックバック (0)

少年事件の精神鑑定の問題点

ここ何年か少年による殺人事件が起こると、大抵大きく報道され、
「加害少年の心の闇を探れ」とばかりに精神鑑定に持ち込まれる
ことが多いようだ。精神鑑定自体は成人の刑事裁判での精神鑑定
と同様の手続きを経て鑑定にはいるのだが、いくつか問題点がある
と私は思う。それをいくつか例示してみる。

たとえば、成人の殺人事件他の刑事裁判で精神鑑定が行われる
場合というのは、加害者(被告)の刑事責任能力の有無を問う。
よく知られている刑法39条問題であり、精神鑑定を通じて心神
喪失状態か、心神耗弱状態か、それとも刑事責任能力を持って
いるのかを争うわけだ。もし、精神病と診断されれば心神喪失
なら無罪判決、心神耗弱状態なら有罪ではあるが減刑される。
(この場合の精神病というのは具体的に言うなら統合失調症の
ことが多いようだ。他、鬱病、鬱状態、てんかんなどが考えられ
る。神経症や適応障害、人格障害は精神病とみなさず、責任
能力ありと鑑定されるようである)

では、少年事件の場合はどうか。
神戸連続児童殺傷事件の場合、加害者A少年の精神鑑定が
観護措置をとられてから第一回審判で決定され、3ヶ月かけて
少年鑑別所に鑑定留置されて精神鑑定を受けている。
結果、行為障害と診断され、さらに放置すれば統合失調症や
解離性障害などになる可能性があると結論された。その結果、
家庭裁判所は責任能力ありとし、事件はA少年の犯行である
と認めた上で、治療が必要として医療少年院送致を決定した。

問題は、この「治療が必要である」と認める場合なのだ。
精神鑑定を行った結果、なんらかの精神障害が認められたな
ら、成人のように無罪や減刑ではなく、「医療少年院送致」と
いういわば、「有罪判決」が言い渡されるのである。(安易に
少年事件の結果を成人の判決と比較するのはそれはそれで
問題があるのだが、それはまた、後日)

現に、その数年後に起きた佐賀バスジャック事件や、愛知「経
験してみたかった」殺人の17才の犯人達はそれぞれ精神鑑定
の結果、医療少年院送致の決定を受けている。
果たして、医療少年院が精神病院としてどの程度の治療を行
えるのかが疑問となる。勿論、こうした事件の犯人達が送られた
2つの医療少年院(関東及び、京都)は病院としての機能が整備
されており、医師や看護師が常勤し、治療と矯正の両面を行える
ようになっている。(はずだ(^^;))
もし、成人の加害精神障害者が保安処分として送られる施設が
将来整備されるとしたら、この医療少年院が雛形として有効で
はないかと、私個人は考える。つまり、精神疾患を持った加害
少年たちは成人では未だ整備されていない保安処分を受けて
いると解釈してもよいのではないかと思う。

そのほか、最近の事例で気になったことを列挙する。
一つは、精神鑑定をどの場所で行うかに関する問題である。
新大久保地区で13才の中学生が5才の子供をマンションから
突き落とし、殺人未遂事件となり、児童相談所から通告されて
家裁送致となり、精神鑑定を受けた事件。このとき、13才の
女子少年は都内の公立精神病院に送致されてそこで精神鑑
定を受けることとなったのだが、報道によると「保護室で事実上
監禁されている」として弁護士が東京少年鑑別所に場所を戻す
よう準抗告した。精神病院の閉鎖病棟の保護室と言ったら、私
の経験上(^^;)、暴れたり怒鳴ったりする落ち着かない統合失調
患者を落ち着くまで収容する場所であるわけで、少なくとも、13
才の病気かどうかもわからない女の子を収容するにはひどい環
境である。それと関係あるかどうかはわからないが、触法少年
として家裁送致された時点では犯行を認めたこの女子少年は、
鑑定後、証言を翻して自分は突き落としてはいないと犯行を
否定するようになってしまった。結局、13才であるため、少年院
送致も検察官送致も現状では不可能なため、児童自立支援施
設送致となり、女子を収容する児童自立支援施設のうち、唯一
施錠による行動制限を行える国立きぬ川学園に送致された。
せめて、精神病院で行うなら、一床部屋を確保できなかった
のか?もしくは児童精神科病棟なりで行えなかったか?何故
鑑別所での鑑定ができなかったのか、疑問の余地がある。

もう一つは去年末、茨城県で2件発生したひきこもり息子に
よる両親殺害事件。一方は成人だったため刑事裁判の手続き
でよかったのだが、問題は水戸市での犯行の方で、犯人とさ
れたのは19才の少年だった。検察庁は拘留期間中に鑑定留
置を請求し、家裁送致前で手続きが止まってしまった。50日の
鑑定留置が終了したところ、なんと19才の少年は誕生日を迎
えて20才となり、成人として家庭裁判所ではなく、地方裁判所
に起訴された。鑑定の結果は離人症を認められるが責任能力
ありとされている。この経緯はどう考えても成人になるのを見越
した検察による鑑定留置であったと考えてよいのではなかろう
か?もし、家裁送致されていて、鑑定留置を受けなかったとし
たら、結果検察官送致となる場合もあるが、もしかしたら少年院
送致となった可能性も否定できない。どちらのほうが、よりこの
犯人とされた少年にはよかっただろうか?

4月 2, 2005 日記・コラム・つぶやき | | コメント (1) | トラックバック (1)

今日の気持ちを忘れずに

今日付で各矯正施設に新拝命された方が多くいるかと思います。

初めて自分の制服に袖を通し、国家公務員としての宣誓文を所長の前で読み上げたかと思います。
どうか、そのときの気持ちを忘れずにいて下さい。

厳しい現実をすぐ目の前に突きつけられるかと思います。
その現実にどうやって対処していくかは個々でやっていくしかありません。
あわないと思ったら、「公務員」という職業にしがみつくのではなく、さっさと辞めた方がいろんな人にとって幸せになれるかとは思います。

矯正職員としての自覚をしっかり持って下さいね。
世間からは厳しい目で見られているということを念頭に置きましょう。

願わくば、ドロップアウトしたり、矯正職員としての道を外さぬコトを祈ります。

4月 1, 2005 日記・コラム・つぶやき | | コメント (2) | トラックバック (0)