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少年審判と刑事裁判の違い

よく、報道で少年審判の結果を話すとき、わかりやすくするためか「不処分=無罪判決」「保護観察・少年院送致=有罪判決」と説明することが多い。しかし、ことは実はそんなに単純に比較できるものではない。
まず、少年事件の場合、警察が取り扱った事件は全て検察を通じて家庭裁判所に送致される。(警察から直接家裁へ送致というケースもあるし、児童相談所から通告というケースもある)全件送致だから自転車・バイク盗(正式には占有離脱物横領罪)から強盗・傷害・殺人などまで全部が家庭裁判所に事件として送られるのだ。
まず、家裁は審判官(家裁の裁判官のこと)が審判を開始するか不開始するかを決定する。少年事件のかなりの割合がこの「不開始」でけりが付く。審判開始が決まった場合、家庭裁判所調査官が少年の生育環境や本人の問題を調査していく。その際に、身柄の拘束が必要と判断されたとき、初めて「観護措置」が取られて「少年鑑別所」へ少年が送られることになる。非行少年が100人いたとして、観護措置が取られるのは1割前後である。何度も非行を繰り返す場合、生育環境に問題があり送られるケース、様々だ。
そして少年審判がはじまると家庭裁判所調査官の調べた生育環境、検察官から送られてきた事件の概要、少年鑑別所に収容されていた場合は鑑別結果通知書を審判官が読み、その上で「不処分」「保護観察」「児童自立支援施設・児童養護施設送致」「少年院送致」「検察官送致」といった判断を下す。おおまかな流れはこんな感じである。
さて、成人の場合は無罪であれば拘置所に拘留されていても釈放され、前科はつかない。有罪判決と新聞などに載るケースは、執行猶予つきの懲役・禁固刑の判決で、執行猶予中に再犯したりすればあらたな事件の判決と同時に執行猶予で免除されていた服役期間もプラスされることになる。実刑判決と報道されれば、裁判所が被告を有罪と認めた上で刑を科すわけだ。
ところが、少年審判の場合、有罪であっても「不開始」「不処分」といった判断が下されることが、案外多い。不開始も不処分も家庭裁判所の記録には残るが、実際すぐに釈放されて自由の身になるため、成人の場合の「無罪」と同じと見なされてしまうのだ。もちろん、事実関係を調べた結果、無罪であるから「不開始」「不処分」になることもある。だから、不開始・不処分には「有罪だけど不開始・不処分」という場合と「無罪だから不開始・不処分」と言う場合があるわけだ。保護観察や少年院などの施設送致、検察官送致の場合はほとんどが有罪だが、先日のコラムのように、精神鑑定を行った結果心神喪失・心身耗弱が認められても「医療少年院送致」という決定もあり得る。
つまり、刑事裁判では事実認定の手続きは検察官と被告・弁護人との間で証拠採用・不採用などの論点で争われ、事件事実がより厳格に審理されるのに対し、少年審判では審判官による事実認定であるため、成人の裁判よりも事件事実について争われることがあまりなく、あったとしても、検察官は審判に立ち会えないという問題があった。これに関して、少年法改正のため、殺人・傷害などの重大事件では検察官の立ち会いがみとめられるようになった。しかし、もし少年の処分に不服がある場合に検察官は抗告することができないでいる。今後、事実認定を厳格に行うべきとの論議がさかんになってきている。14才以下の触法少年についての少年院送致を認めるかどうかという問題に次いで、大きな論議である。

6月 1, 2005 初心者向け解説 |

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