無期懲役受刑者の仮釈放
まず、日本での無期懲役とは何か?
満期のない懲役刑です。満期がないということは、死ぬまで刑が付きまとうのです。
仮釈放に関する期間的な条件は以下の通りです。
刑法第28条
懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。少年時に無期懲役の言い渡しを受けた場合は、少年法が適用されます。 少年法第58条
少年のとき懲役又は禁錮の言渡しを受けた者については、次の期間を経過した後、仮釈放をすることができる。 一 無期刑については七年 二 第五十一条第二項の規定により言い渡した有期の刑については三年 三 第五十二条第一項及び第二項の規定により言い渡した刑については、その刑の短期の三分の一 2 第五十一条第一項の規定により無期刑の言渡しを受けた者については、前項第一号の規定は適用しない。少年法第58条第2項で書かれている「第五十一条第一項の規定により」というのは、
罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。
したがって、18歳未満の少年で死刑を持って処断すると判断された場合には成人同様10年が期間的な条件となります。
仮釈放による出所後もあくまで「仮」に出所しているのであって、罰金刑以上の刑に問われた場合には取り消されることがあります。取り消されたら、再び刑務所で服役しなければなりません。これは有期刑での仮釈放でも同様ですが、有期刑との違いは、期限がないことです。
刑法第29条より。
次に掲げる場合においては、仮釈放の処分を取り消すことができる。 一 仮釈放中に更に罪を犯し、罰金以上の刑に処せられたとき。 二 仮釈放前に犯した他の罪について罰金以上の刑に処せられたとき。 三 仮釈放前に他の罪について罰金以上の刑に処せられた者に対し、その刑の執行をすべきとき。 四 仮釈放中に遵守すべき事項を遵守しなかったとき。 2 仮釈放の処分を取り消したときは、釈放中の日数は、刑期に算入しない。
現状、無期懲役の仮釈放は20年以上が当たり前になってきています。平成17年の刑法改正で、懲役刑の上限が30年になったこともあり、以前より厳しい運用になっています。
http://d.hatena.ne.jp/youhei2007/20070309から。この数字を見れば、20年以内の仮釈放が非常に困難であるのは読み取れるかと思います。
| 2000年 | 仮釈放者7 | うち在所20年以内0 |
| 2001年 | 仮釈放者13 | うち在所20年以内2 |
| 2002年 | 仮釈放者6 | うち在所20年以内1 |
| 2003年 | 仮釈放者14 | うち在所20年以内0 |
| 2004年 | 仮釈放者1 | うち在所20年以内0 |
| 2005年 | 仮釈放者10 | うち在所20年以内0 |
刑法第28条がさす「改悛の状」というのは何か?
- 悔悟の情が認められること
- 更生の意欲が認められること
- 再犯のおそれがないこと
- 社会の感情が仮釈放を是認すると認められること
無期懲役受刑者に関しては4番がネックです。無期懲役を言い渡されるぐらいの重大な罪を犯した以上、社会感情が良くないのは至極当然です。また、身元引受人になってくれる人がいないというのもあります。
未決で長く争っていた(=裁判が長引いた)場合だと、社会から隔離されている期間は長くなります。有期刑にはある未決勾留日数を刑期に算入するというのもないですから。
私は一度だけ無期懲役受刑者の社会復帰カリキュラムに立ち会ったことがあります。保護観察所にいったりしました。その時の受刑者の行動からは、浦島太郎状態であることが漂ってきました。90年代前半でこれでしたから、今だったら、もっとひどいギャップに悩まされるでしょう。
長期受刑者に関する笑えないエピソードに、カップラーメン用のお湯を沸かすための電器湯沸かしポットが使えないというのがあったそうでして。別に使えなくても生きてはいけますが、やはり受刑生活で浦島太郎状態になっているのはわかるかと思います。
20年間以上社会から隔離されているというのは軽い罪なのでしょうか?そして、恩赦による減刑がない限り一生つきまとう刑が軽い罪なのでしょうか?
理論上仮釈放が適用される年数をもって、無期懲役が軽いと風潮するマスゴミや一般人がいますが、非常に浅はかな考えでしょう。
今回の記事を書くにあたっては、「日本の無期懲役とヨーロッパの終身刑の実際~マスコミの責任の大きさ - 日本の無期懲役とヨーロッパの終身刑の実際~マスコミの責任の大きさ無期懲役刑に関する誤解の蔓延を防止するためのブログ」を参考にさせていただきました。
5月 27, 2007 日記・コラム・つぶやき | Permalink | コメント (3) | トラックバック (0)